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いつもと違う朝

 

いつも通り目覚めた朝だったが、何か違う感覚を感じた。

特別何かが変わった訳ではない。
ただ起きて、パチスロを打ちに行く。
今まで、何百回と繰り返してきた普段通りの朝のハズ。

だが、少し違う。

やはり、今日からパチスロ専業者として生きていくと決めたからなのか。

パチスロ専業者と言っても、当然、資格や免許がある訳ではない。
他の誰かがそれを認めたり、認識する訳もでない。

ただ、自分がそう「名乗っている」だけなのだ。

それでも、自分自身の中で、普段と違う「何か」を感じる、いつもと違う朝だ。

 

出発

 

2001年元日。

当然外は寒い。
俺の愛車は原付だ。

目指すホームまでは約20分。
出来る限りの防寒をし、家を出たのが9時30分。

「少し早いか?」

まぁ、良い。

いつもと違う朝だ。
少し気持ちが昂っているのかもしれない事を思えば、安全運転の為にも、多少早く出るのも良いだろう。

元日の、車が極端に少ない道のりを20分走らせ、店に着いたのが9時50分。

しっかり防寒してきたとはいえ、身体は冷えている。

自販機でホットコーヒーを買い、冷えた身体を温めながら、タバコに火をつけ開店を待つ。

開店2分前。

店員が顔を出し「明けましておめでとうございます!」と元気に挨拶してくれた。

「おめでとう」

と、聞こえるか聞こえない程小さな声で新年の挨拶をする俺。

回りの奴らは認めてくれないが、俺は、照れ屋で人見知りするんだよ。

 

開店

 

10時。

開店と共に店に流れ込む。

お目当ては「デュエルドラゴン2」

前日の札台だ。

札が刺さった時間が遅かった事と、少ないゲーム数ながらボーナス確率が高設定域だった事から、年を跨いだ据え置き狙いだ。

他にライバルなんていない。

客は俺一人だ。

だが、少し駆け足で台に向かい、狙い台にタバコを投げ込む。

原付に乗る為に着込んできた上着をカウンターに預け、一万円札を両替し席に戻った。

席に腰を降ろし、サンドに千円札を突っ込んだところで違和感に気付く。

「???」

台の盤面に札が斜めに貼り付けられている。

「何だコレ?」

こんなものは見た事がない。

「掃除か何かの忘れ物か?」

事態が呑み込めなかったが、取り敢えず店員を呼ぶ。

「コレ打っていいのかい?」

俺が尋ねると、店員は「どうぞ」と言って盤面に貼り付けられていた札を剥がした。

「えっ?」

またも謎が目前に現れた。

「告知ランプ点いてるやん・・・」

そう、告知ランプが灯っている。

何故だが分からないが、ボーナスが確定している状態だ。

この告知ランプを隠す為に、不自然な状態で札が貼り付けられていたのだ。

わざわざ隠すという事は、店側もこのボーナスが確定している事を承知していると言う事。

「お年玉かよ」

真意の程は分からないが、まぁいい。

貰えるモノは貰っておく。

俺のパチスロ専業者としてのスタートは、僅か一枚でボーナスを揃えるところから始まった。

 

デュエル告知ランプ

 

 

 

 

 

 

 

一進一退

 

自分以外の台を見て回ったが、他に告知ランプが光っている台は無かった。

と、いう事は、前日最後の客が残して帰ったのか?

だが、リーチ目ならいざ知らず、告知ランプが点いてる状態で帰るか?

閉店で切られたとしても、そのまま店が放置しておくだろうか?

真相は分からないままだ。

 

用意された? ボーナスはBIGだった。

他に「仕込まれた」台が無いと言う事は、据え置き濃厚なのだろうか?

元々設定判別が出来ない機種だ。

まぁいいだろう。

ただで貰ったボーナスなのだから、飲まれるまでは全ツッパを決め込んでレバーを叩く。

時刻は17時。

箱を使ったかと思えば、すぐさま全てを下皿に戻す。

そんな事を何度繰り返しただろう。

全て飲まれる訳でもなく、かと言って、大きく出玉を伸ばす訳でもない。

「一進一退」

開店よりずっとその状態が続いている。

「まぁいい」

投資は一本・・・いや一枚。

朝決めた通り、飲まれるまでは黙って続行だ。

 

初勝利

 

22時30分

最後の最後まで、どちらにも転ばないまま閉店を迎えた。

手元に残ったコインは1,000枚弱。

正直、設定がいくつだったのかは分からない。

しかし、勝った事は間違いない。

遂に、俺のパチスロ専業生活が始まった。

 

1月1日

店舗 機種 収支
エル デュエルドラゴン2 +12K

 

第2話へ続く

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